海外のお金持ちが投資する海外ファンド(ヘッジファンド)は、景気の変動に関わりなく、すばらしい運用成績を残しています。 |
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関連記事 | 大前研一『ニュースの視点』 | |
◆海外投資と税金 |
※本内容は、magID 0000140789 大前研一『ニュースの視点』から、引用したものです。 ●ゼロ金利下で見えた日本人の国民性 今後、追加利上げにより米国並に金利が上昇する可能性があるかと言うと、私はその可能性は少ないと思います。 日本には1500兆円の個人金融資産がありますが、もしこれが大量に海外に流出するような事態になれば、それを引き止めるため、日本も金利を上げざるを得ないでしょう。 しかし、長年続いたゼロ金利にも関わらず、個人金融資産が海外に流出することはありませんでした。 例えば微々たる金利のもとでも、240兆円もの資金を郵貯に置きっ放しにしてしまう。 世界中を探せば利率の良い金融商品はたくさんあるわけで、論理的に考えれば、運用先を変えるべきなのにそのように行動しない。 ペイオフ解禁後の対応でも、同じことが言えます。 元金の保証額が1000万円とその利息までと決まったとき、たいした利息もつかない国内の銀行に1000万円ずつ分散して安心してしまう。 実際、銀行が倒産するときには連鎖倒産しますので、たいしたリスク分散にはならないのですが、とりあえず元金は保証されるから安心、といった具合です。 更には、りそな銀行を税金投入により救済しましたが、このとき国民もマスコミも強く反対することはありませんでした。 このような日本人の資産運用に対する消極的な態度、低金利の状況でもじっと耐える国民性には絶句してしまいます。 あっちが得だと言っても動かない、 どんな仕打ちを受けても怒らない、 ひたすら低金利下の日本でじっとしている。 私はこの国民の反応の鈍さが 今の日本を特徴付けていると思います。 しかし、りそな銀行救済をきっかけに、この日本人の特性が世界的に知られることになりました。 すなわち、どんな悪条件下でも、個人金融資産は流出しないと判断されたのです。 すべてのロジックに日本人は反対の行動を取ってきました。 これが皮肉にも海外の投資家に日本に対する安心感を与えることになり、外国人の日本買いを誘引することになったのです。 この非論理的な国民性は、現状の教育制度が、資産運用に関して考える力を日本人から奪っている ことに原因があると思います。 ゼロ金利政策で最も損を強いられたのは国民です。 国民が低金利の日本でじっとしている間、企業は借金体質を解消し、銀行は預金者に本来支払うべき金利を払うことなく、不良債権処理を進め、そして今、ゼロ金利を解除するに至りました。 これはあたかも、金融当局者と文部科学省が一体となった教育の大勝利と言ったところでしょうか? ●金利・為替リスクのいずれを考えても、国際投資は必須 米国の普通預金の金利が上昇し、5%を上回る商品が出てきました。 自らの利益を圧迫してまで、米銀行が金利を上昇させているのは、預金者獲得のために必要だからです。 逆に言えば、そのくらいの金利をつけなければ米国の国民は、銀行にお金を預けてくれないという状況を推測することができるでしょう。 一方、日本に眼を向けてみると、各銀行の預金金利は、0.1%〜0.2%の間で横並び状態になっています。 米国の預金金利は5%、日本の預金金利は0.2%という数字を見ると、とても同じ金融商品とは思えない格差になっています。 このような状況を見ていつも私が感じるのは、なぜ日本人は、こんな金利格差を目の当たりにしてもなお、海外の銀行へお金を移動させないのか?ということです。 預金ですから、いわゆる元本割れの危険性があるリスク商品ではないのです。 そして、同じ金融商品なのに利率が25倍にもなるのに、そちらを選ばない というのが私には理解できないのです。 ・・・中略・・・ 為替リスクの危険性について言うのであれば、為替のボラティリティ(変動幅)は長い目で見れば金利差に反映されるわけですから、黙って資産をドル・ユーロ・円で資産を3分割しておく方法が最も得策ですし、為替リスクに一喜一憂しない方法だと思います。 ・・・中略・・・ ●日本円の弱体化 もはや国際通貨ではない日本円だからこそ… ・・・中略・・・ しかも米ドルだけをターゲットにするのではなく、米ドル・ユーロ・円の3つで国際分散投資をする必要性があると私は考えています。 1つには、ユーロ建ての資産を持っていれば、年2〜3%の金利がついた上に、このように価格も上昇しているのですから、日本円だけの資産形成に比べて有利だということです。 もう1つには、国際通貨としての日本円の弱体化を見て取ることができるからです。 ここは非常に重要な点です。 ユーロがこれだけ値段を上げてきた理由の一つは、米ドルから資金が移行したということでしょう。 そのため、ユーロに対抗するため、現在米ドルは、金利を上げて、ユーロから再び資金を引き剥がしてドルに移行させようとしています。 このように米ドルとユーロが喧嘩をすると、どういうことが起こるでしょうか? それは、結局、米ドルとユーロを強くすることにつながり、日本円が1人弱体化するという結果を招くことになってしまうでしょう。 実際に、その兆しとなる数値が顕在化してきているのです。 それは、かつては世界の外貨準備金の10%を占めていた日本円が、現在では3.4%に後退してしまったという事実です。 米ドル(66%)、ユーロ(25%)はもちろんのこと、英ポンド(4%)にも劣る水準になってしまっているのです。 実際、貿易決済の現場でも、米ドル・ユーロ建て決済が多く、日本円での決済は非常に少なくなってきています。 かつて「円の国際化」などと声高に叫ばれたことがありましたが、もはや、日本円は国際通貨と呼べるものではないと私は思います。 このように円が国際通貨として通用しなくなって、弱体化が進んでくると、益々為替リスクを負う可能性が高くなるでしょう。 この点からも、資産を国際分散投資することは、必須 なことではないでしょうか。 ・・・中略・・・ 自分の資産をどのように形成し、どのように保護し、どのようにリスクを取って、どのように運用していくべきか。 自分の頭で考えられる教育の必要性を強く感じています。 円資産だけ持つことが、いかに危険なことか? 日本人の保守性(本当は、自分で考えない=思考停止の習慣)が、先々非常なリスクになると大前氏は危惧しておられる。 なぜ、日本人は合理的に物を考えられなくなってしまったのでしょうか? 私は、「戦後からの70年間の成功経験が棄てきれないため」と考えます。 70年間といえば、人の一生です。 一生、国の教育方針に則り、ひたすら教科書の答を記憶することで、仕事を確保し、円資産のみ持っていれば、円高で恵まれ、成功してきた。 片や、海外や、為替に投資し、大失敗した事例も聞く。 そうすると、何も考えないことが、一番よかったのです。 しかし、時代は変わりました。 愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ いま訪れようとしているのは、今生きている人は誰も体験したことのない変化なのです。 とにもかくにも、思考停止だけは避けましょう。 選択肢も複数あり、評価のものさしを持てば、合理的な判断ができるようになります。 その一助となるように、これからも頑張りますので、どうぞよろしく! |
★★★★★★ 投資の基本的考え方について ★★★★★★ |
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