「金融 (雑学3分間)」太齊利幸 著より
■「リスク」が嫌いな日本人
日本人は安全第一というか、リスクを嫌う人種のようです。
日本の個人貯蓄総額は、1400兆円といわれていますが、その約55%が現預金となっており、株式投資は約6%しかありません。
一方、アメリカでは、現預金が約11%であり、株式投資が約35%です。
この違いは、多少のリスクを取ってもハイリターンを期待するアメリカ人と、リスクを極端に嫌う日本人の考え方の差なのでしょう。
ここにいうリスクとは、「元本割れ」を意味します。
一般的に投資の世界では、思い通りにならない可能性(確率)をリスクと呼びます。
決して「危険」という意味では有りません。
「危険」などといったら、誰もその金融商品を買ってはくれませんから。
さて、元本保証の変額年金保険が好調のようです。
変額といえば、ついバブル時代の変額保険を思い出して、悪者の代名詞のようにされていました。
本来は理にかなった商品なのに・・・。
但し、元本保証となれば話は別、とばかりに、変額年金保険が結構売れているようです。
しかし、元本保証の変額年金保険では、大きなリターンは期待できません。
というのは、元本保証をするためのコストがかかるからです。
タダでは誰も守ってくれません。
どう考えても、儲かったときには、儲けを全部顧客に渡し、損をしたときには自分がかぶる、といった会社は存在しないのです。
リターンは少なくても、この商品が現に売れているのです。
日本人がリスクを嫌うということの証明でしょう。
上記を読むと、恥ずかしくなってくるのは、私だけでしょうか?
表現は極端ですが、私は、元本保証の変額年金保険を選択するベースは、単なる経済知識の欠落が原因と考えます。
リスクとリターンの関係を正確に理解し、また、インフレの進行を予期し、その複利効果が理解できる人なら、絶対に選択しない投資対象でしょう?
経済に関する教科書が無いからといって、「経済知識の吸収に思考停止を繰り返し、それで、自由主義の世界を楽しもう」というのは、「バカの壁の見本」以外の何者でもないでしょう?
国際的に有名なコンサルタントの大前研一氏が、ご自身のメルマガで嘆いておられましたが、あまりのファイナンシャルリテラシーの低さに、目を覆いたくなるそうです。
あなたのように、ファイナンシャルリテラシーが高く、経済合理性で判断できる日本人が、増えることを期待しております。
|