＜外国為替取引の基礎知識＞　　

　　　　　　　　　「図解雑学　通貨と経済」　野村重治　著

●経済指標発表後の為替市場

　　　　重要な経済指標の発表直後に、原則的なレートの動き
　　がみられない場合も有ります。

　　　　これには、市場参加者がある程度指標の結果を予想
　　していることと、そのために発生するポジション調整が絡んで
　　いる場合が有ります。

　　　　例えば、アメリカの雇用統計や貿易収支赤字が悪化
　　していればドル安が予想されます。
　　　　そうすると、発表後にドルが売られ、ドル安となります。

　　　　その結果、実際に経済指標が発表されても市場には
　　織り込み済み（予想していたということ）なので、発表
　　そのものが為替レートに影響を与えることは有りません。

　　　　ただし、ここでポジション調整によるレートの変動が
　　起こる可能性も有ります。

　　　　発表前のドル売りの結果、ディーラーのポジションが
　　ドルショートになっている場合、ドルを買い戻す動きが発生
　　し、一時的にドルが上昇することも有るのです。

　　　　もちろん、常にこのようになるわけでは有りませんが、
　　為替レートの動きが、一つの要因では説明しきれないこと
　　を示す例であるとは言えるでしょう。

　　　　　　-引用おわり-

　　　　この「織り込み済み」の顕著な例は、最近経験しました。

　　　　今年２月に日銀が利上げを発表しました。
　　　　普通なら、円高に振れる場面です。

　　　　ところが、市場は全く反対の反応を示し、円の全面安と
　　なり、以降円安のが加速しております。
　　　　市場の判断は、これでしばらくは公定歩合の引き上げは
　　ないから、安心して円キャリートレードを継続しようと
　　いうことらしい？


　　　　為替市場を継続的に観察していると、妙な指標に過度に
　　反応したり、うわさで動いたり？している。

　　　　相場というものは、人間感情で左右されるものだということ
　　が改めて再認識されますね。