＜外国為替取引の基礎知識＞　　

　　　　　　　　　「図解雑学　通貨と経済」　野村重治　著

●金本位制のルール

　　　　金本位制の下では、まず通貨の価値を金で定め、
　　そこから通貨間のレートを計算します。
　　　　例えば、金1オンスを35ドルとし、一方で金1オンスを
　　12600円とすると、1ドル=360円と算出できます。

　　　　また、金本位制は、下記の条件を満たしたとき、
　　国際収支を均衡させる仕組みを備えています。
　　　　�@国内、国外を問わずいつでも金と交換できる
　　　　�A金と兌換可能な量しか貨幣を発行できない
　　　　�B価格と賃金は財市場や労働市場の需給を一致
　　　　　　させるように収縮的に動く



●金本位制下の国際収支調整

　　　上記の３条件を満たすと、どのように国際収支が調整
　　されるのか、アメリカと日本の貿易を例として見てみましょう。
　　　　まず、日本の輸入（ドル需要）が増大したとします。
　　ここで、1ドル当りの金の輸送料を4円とすると、1ドルは364円
　　以上には上昇しません。
　　　　なぜなら、輸入業者が金を現送すると、総コストは1ドル
　　につき364円なのに対して、為替レートが364円より上昇したら
　　、誰もドルでの決済を選択しないからです。

　　　　つまり、金本位制では為替レートがほぼ固定される
　　ことになります。
　　　　さらに日本の輸入が増大し続けるとしましょう。
　　　　ドル需要が高まり続け、為替レートが364円を超えると、
　　日本の金が流出して円の貨幣量が減少します。
　　　　その結果、円の金利が上昇して投資を抑制し、物価を
　　下落させます。そうすると、日本の輸出競争力が高まるので
　　、輸出が増大し国際収支が均衡します。

　　　　輸出が増え続けた場合は、上で述べたことの逆の減少
　　が起きて、やはり国際収支が均衡します。
　　　　すなわち、金の量の変化に応じて価格の調整が
　　マクロレベレで行われ、国際収支が自動的に均衡する
　　といえます。