「手に取るように金融用語がわかる本」
三菱総研経済調査部 監修 より
■証券総合口座
有価証券の売買代金の払い出し・受け入れができ、銀行の普通預金と同様の決済機能を持つ利子つき口座。
銀行では、決済機能を持つ普通預金と利殖目的の定期預金をセットにした口座を「総合口座」と呼んでいます。
これに対して証券総合口座とは、決済機能を持つMRF(マネー・リザーブ・ファンド)の口座と、株や債券の取引口座をセットにした、証券会社版の総合口座です。
MRFは証券総合口座専用に開発された、即日入金ができる投資信託の一種です。
証券総合口座に入金されたお金は、まずMRFで運用されます。
そして、株式などを買うと自動的にMRF口座から買い付け代金が充当され、逆に売却代金は自動的にMRF口座に入金される仕組みになっています。
さらに、MRF口座のお金はATMから手数料無しで出し入れでき、クレジットカードの決済などにも使えます。
ただし、1997年10月に証券総合口座が解禁されて以降も、証券会社が決済機能を持つことに対する銀行業界の反発は根強く、MRF口座での公共料金支払いなどは、依然として検討中のままとなっています。
■ラップ口座 Wrap account
売買の回数に関わらず、口座の資産総額に対し一定比率の手数料のみを支払うという契約の口座
ラップ口座とは、証券会社が提供する、個人投資家向けの投資コンサルティングサービスの一種です。
「投信ラップ」と「コンサルティングラップ」の二種類があります。
投信ラップ口座とは、証券会社が顧客からの要望を元に、複数の投資信託を組み合わせたポートフォリオを提案し、顧客から預かったお金で投信を買い付けて運用するというものです。
一方、コンサルティングラップもポートフォリオを提案して運用するサービスですが、ポートフォリオに組み込まれるのは投信に限らず、株や債券などにも投資します。
いずれにしても、従来のように証券の売買ごとに手数料を取るのではなく、運用資産の総額に対して一定の手数料(年率1〜3%ほど)を受け取る、というのがラップ口座の最大の特徴になっています。
ふつうの株式投資の場合、極端なことを言えば顧客が儲かっても損をしても、売買さえしてもらえば証券会社は手数料を稼げます。
そのため、証券会社は客に頻繁に売買させたがります。
しかし、ラップ口座では何回売買しても、それだけでは証券会社の儲けにはなりません。
顧客が利益を上げることではじめて預かり資産が増え、証券会社の収入も 増えるわけです。
そのためラップ口座は、「お客様に儲けていただくことで証券会社も儲かるシステムだ」と宣伝されています。
今のところ日本では、証券会社による投資一任業務は損失補償問題につながりかねないという声もあり、投信ラップ口座のみが解禁されています。
しかし、ラップ口座が生まれたアメリカではコンサルティングラップが主流で あり、売買手数料の自由化に伴い新たな収益源を確保したい日本の証券会社にとっても、1999年中に予定されているラップ口座の全面解禁が待ち望まれています。
|