【あなたのガンはがんもどき 近藤誠 著】

 この本は、医療の一般常識を覆してくれます。

 「これだけ医療技術が進んだにもかかわらず、がん死亡率が下がらない」という、漠然ともっていた疑問が解けました。
 本物の癌(転移がある)になったら、諦めなさい?…というのは、親族の立場に立てば感情的には同意したくないが、学術論文の分析力から想像するに、近藤氏の主張は正論と思われます。

 厚労省とグルになった健康診断ビジネスの犠牲にならないためにも、自己防衛として知っておくべき知識と思います。
近藤誠氏のような、患者の利益を優先する倫理観のある医療を受けるためにも、思考停止しないで『自分で考える患者』にならねば、と改めて誓います!



<これまでの考え方>
 ・いつ転移するか分からないから、徹底的に治療しろ
<新しい考え方>
 ・もし転移があるのであれば、治療してもあまり意味が無いから、最小限の治療(場合によっては無治療)で十分。もし臓器転移がないのであれば、今後も転移は生じないので、やはり最小限の治療、もしくは無治療で十分、となる。

・専門家の間には、がん診療の効果を測るには、総死亡数が最も有用で誤りが少ないというコンセンサスがある。

<がん検診の効果と結論>
 (1)検診をすると、癌が発見される人は増える
 (2)しかし、癌死亡数は変わらないか増える
 (3)検診群の癌発見数の増加分は、人を死なせない癌、すなわち「がんもどき
 (4)検診群では、本物の癌も早期に発見されたはずだが、運命は変えられない。原発病巣が検診で発見できる大きさになる前に、転移が生じている。
 (5)CT、PETを用いた精密検査も結論は変わらない。
  癌が小さくなるほど、「もどき」の確率が高くなり、他方で、本物の癌は小さくてもすでに転移が生じているため

・胃がん:進行癌でもすぐに死ぬことはない。QOLも良好。
・免疫療法、抗癌剤を投与されたグループの生存期間が短い

レントゲンが発ガン原因に!
 ・5〜150_シーベルトで発ガン死因との相関が認められた
 ・CT一回は10〜20_シーベルト、撮影が数回に及ぶこともある。
  マンモグラフィ=3_/一回 大腸レントゲン検査=15_/一回
 ・胃がん検診(バリウムを用いた)は特に危険(
胃袋は放射線感受性が高い
 ・CT検査も、子供の年齢が若いほど、被ばく線量が高くなり、発ガン率は成人の数倍になります。
  被爆で組織の発育も阻害され、年齢が低いほど危険です。
  乳児はことに脆弱で、一度のCT検査で、神経発育障害が起こる可能性があります。

現在、「科学的、倫理的、経済的見地からして、公衆健康の望ましい増新作として増進策として一般医療の場において、中年における多項目検診はもはや唱導されてはならない」というのが世界的な常識です。

・放射線は、癌の悪性度が高いほど治療効果が高く、再発率も低くなる

・がん細胞は血流に乗って全身を巡っています。
 しかし、各臓器には固有のバリアーがあるので、それぞれに対応した鍵物質を持っている場合だけ、その臓器に転移することができる。

5年生存率:臓器移転は通常、治療後2〜3年以内に出現し、出現後2〜3年以内に死亡

・「もっと早く見つけていれば」は、見当違い

・抗癌剤治療は二度目になると、生存期間を短縮します。