株式投資・相場技法の基礎知識

 株式相場の世界で、安定した利益を出し続けるには、組織力に頼るか、相場技術を身に付ける必要があると云われています。
 そんな相場技法(理屈でなく売買できる力)を身に付ける方法と、株式投資の基礎知識集です。

<相場技法うねり取り・メールサポート>

【メールサポートQ&A】

相場技法・練習売買と複数銘柄

ご質問です】

 ●●さま。お世話になっております。

 さて、うねり取りの準備が一通り済みましたので、ご報告し、アドバイスを
いただければと思いメールいたしました。
 月足は、「味の素」「日本通運」「王子製紙」「日本ハム」「住生活グループ」
を書きました。

 中では、「味の素(これは売買経験があります)」「日本通運」にひっかかりを
感じました。書いている最中と書いた後で見るグラフの感覚が違うのです。
「日本通運」に関しては、書いている最中は取れるような気がしたのですが、
書き終わってグラフを眺めていると、取れる気がしない。
逆に「味の素」は書いている最中は取れる気がしないのですが、後からグラフを
眺めていると取れる気がしてくる。

 ともあれ、「取れる感じ」を受けたのは、「味の素」と「日本通運」だったので、
この二つはもう一度、月足を書き直して見ました。
 しかし感じ方はやはり似たようなもので、取れそうだという思いと、取れない
という思いが交錯しました。

 その後、「味の素」か「日本通運」のどちらかに銘柄決定しようと、この二つの
日足を作成しました(先週やっと終わったところです)。

 この日足に関しては、正直どちらの銘柄に対しても、感覚がつかめないところが
あります。それでも後からグラフを眺めていると、「日本通運」の方がとれそう
な気もしてきています。
 逆にいままで慣れ親しんできた売買経験のある「味の素」が日足を書いてみると
意外と荒い動きをする局面もあり「これは取れない」という感想をいだきました。

 板垣先生の本に、グラフを毎日眺めていて、動きがわかってきたら売買せよ、
という意味の文があったと思います。
 そこで、毎日、「味の素」「日本通運」の月足、日足を見て、ある程度、
流れが見えてきたら、どちらかに銘柄を決定して、仕掛けようと思います。

 データスリップは県内の図書館で2002年のものから会社四季報が入手できました
ので、「味の素」「日本通運」のものを作りました。


さて、質問です。

1)板垣先生の本にも、●●さんのe-bookにも、まず最初に一カイ、一ウリ
(あるいは一ウリ、一カイ戻し)をせよとあります。
 その後、分割売買に進めとのことですが、ナンピンを前提とした分割売買でした
ら、ある程度底値に近い部分を拾うことも可能でしょう。
 しかし、一度しか仕掛けることができない一カイ、一ウリの場合だと、
底値近くをとらえるのはなかなか難しいと思います。

 すると結果として、仕掛けて買った時が上昇トレンドならよいのですが、
買った後、まだ下がある場合は、しばらく含み損を抱えて、トレンドが反転
するまで待つということになるのでしょうか?

 ただトレンド反転まで待つことを前提にしてトレンドが反転しなかった場合、
損切りが遅れることにもなると思うのですが。
その点、一カイ、一ウリの場合の対処法を教えていただきたくお願いいたします
(損切り、または蓋をする際の留意点、と仕掛ける際の注意点ということに
なるでしょうか)。

 また板垣先生の本に、下げ止まる直前に買え、とあったのも気になっています。
下げ止まったところではなく、下げ止まる直前なのです。この意味がいま一つ
私にはわかっていません。

2)これは分割売買をするようになってからだと思いますが、e-bookによりますと、
ナンピンの際、自分の決めた値まで下がるまでは、買い増しはしてはいけないと
あったと思います。

 しかしグラフを見て、「値」よりも「日柄」や「グラフのトレンド的」に
ここで買いだという感覚で分割売買をしてはいけないのでしょうか?


3)林輝太郎先生の本に、数銘柄を比較のため書きつづける、という記述があったか
と思います。
 しかし、「日本通運」か「味の素」のどちらか一つだけに銘柄決定した後は、
もう一方のグラフや場帖を書きつづけるのはやめるべきでしょうか?

 また売買はやはり二銘柄ではなく、一銘柄だけに限定して、うねり取りを行なう
べきでしょうか?


 以上、今までの月足日足を作成してきました私の経緯も含めまして、間違え等
ございましたらご指摘いただけましたらありがたく存じます。
また質問にも、お教えいただけましたらありがたく存じます。

 お忙しい中、ぶしつけなお願い、まことに恐縮ではございますが、何卒ご教授を
うけたまわりたく、平にお願い申し上げます。

よろしくお願いいたします。



【お答え致します】

 「取れそうだという思いと、取れないという思いが交錯」
実作業を実行した方でないと、決して得られないこの感覚、大切にして下さい。

 「うねり取り」は、技術です。
 これから売買経験を重ねることで、徐々に取れるようになっていきます。
 その意味で、グラフを書いただけで、「取れそうもない」と不安を感じたとしても
心配いりません。

 「味の素」と「日本通運」、これから一生?お付き合いする銘柄ですから、
じっくり(場合により、両方売買してみて)選んでください。
 


1)練習売買 1カイ1ウリ について

 株を「買ったはよいが、下がったから塩漬け」
というのは、笑い事ではないですね。
 塩漬けした資金は無駄になり、結果的に回復の可能性すら否定する
ことになります。

 プロの教本?とされる「中源線」にしても、「両はずしサヤトリ」にしても、
「玉を動かせるようになること」という大目的が潜んでいると考えます。
 1カイ1ウリの練習売買の目的も、「玉を動かせるようになること」が
利益よりも重要視されていると思います。

 この理解が正しいとすると、もともと「1カイ1ウリ」で底値(近辺)を
狙いにするのは、筋違いとなります。 


 一般的な概念ですが、日足(ローソク足)で見たとき、
上げ止まりは・・・上値更新幅が縮まり、やがて上値更新が止まり、
逆行新安値が少しずつ出てきます。
 その安値幅が徐々に拡大し、途上は長陰線(時には、窓を空ける)が
出現します。
 下げ止まりは・・・その後、新安値の幅が徐々に縮まり、安値更新がとまり、
短い日足で持ち合います。時々、逆行もみられるでしょう。

 板垣先生が仕掛けるのは、このタイミングだと思います。
続けて下落(2段下げ、3段下げに向かった場合)した時は、
「おかしいなと思ったとき、損切りせよ」と表現してあります。

 1段下げの下げ止まりを判断した持ち合いがありますね。
 その「下げ止まったかな」と判断し、実際行動(1カイ)した水準ですから、
実践者にとっては、強烈に印象付けられているはずです。
 この持合幅を下抜けた(特に勢いよく抜ければ)場合、当事者であれば必ず
「おかしいな」と感じると思います。
 損切りはこのタイミングでしょう。
 
 私の場合(練習時)は、狙いとしていたのは、もう少しタイミングが遅く、
相対的に強い反発(逆行新高値)を確認した後です。
 「強い反発」を数字で表現できると良いのですが、定量的には難しい。
 感覚的には、安値更新がとまり、小さな持合幅でもみあうことが多いです。
 その持合幅を上抜けた長陽線が出たのを確認した後の、下げの翌日が
カイ注文を出す日です。

 損切りは、持合の下値を抜いた時です。
 特に、勢い良く(大きな値幅)抜けば、気持ちよく損切りできるのですが、
じわじわと下げたときには、損切りできない時もありました。
その後、下げに勢いがついた時にあきらめて損切りしますので、
かえって傷口を広げる結果になりました。
 「初めに決めた計画を守れ」というのは、相場で生き残る必須要件です。
 

底値を捉える必要はない
 板垣先生の「下げ止まる直前を買え」とは、2分割の最初の玉のことだと思いますが、
分割、特に不等分割(扇形の建て玉)で平均値を有利にするための必須技術。

 いずれ不等分割で大きな玉を建てるようになった場合、下げ止まってから
(上げ始めてから)大きな玉を建てたのでは、平均値が不利になります。
 有利にするには、不等分割の一番大きな玉を最安値(安定した三角形)に
できるように、仕掛けの感覚を鍛える必要がある。

 最安値で、全玉買えればベストですが、非現実的。
 どの段階で止まるかは、神のみぞ知る。
 それを狙うことで、結局、底で買いそびれることになり、その後あせりが生じ
大きな塊をつくる。
 運悪く、下げに転じた場合、あなたは平常心を保つことができるでしょうか?
 その後の、打つ手がおかしくなるのは容易に想像できます。

 下げ止まったかな、と考える時、「いくらで下げ止まるか」と、底値を捉える
ことに 注力するのは無駄です。
 うねりの周期からみて、また値動きからみても、下げ止まりが近いかなと思うだけ。
底値というより、「ある値幅の範囲で反発しそう??」と想定します。

端的に言えば、
 毎回、最大利益を追求するのは、誤りです。
 値動きを当てようとするのも誤り。

 うねりを形成する確率が高いと考え仕掛けますが、仕掛けた時点の
のうねりは、あなたが期待するうねりを形成するとは限りません。
 「想定通りに動けば利益になるし、思惑と違う動きになれば、
それなりに対応するだけ」。
 決して、賭け事で熱くなるのとは違います。



2)分割売買のナンピンについて
 林先生のご著書には、ナンピン値幅によるもの、によるもの、
値動きによるもの(例:大きな陰線ごとに)、日柄によるもの(実際は、併用)
についての記述がありますね。

 結論としては、最初に決めたナンピンの方法に従って下さい。
 値幅でナンピンを決めたなら、途中から値動きによるもの、或いは日柄による
方法に変更してはいけません。

 あなたが最初から、「値」よりも「日柄」や「グラフのトレンド的」に
ここで買いだという感覚で分割売買を計画していたのなら、
それに従って下さい。

 老婆心ながら申し上げますと、仰る方法は「うねりを捉える技術が身に付いてから
ならば、資金効率の最大化に貢献できるでしょう。

 しかし、うねり感覚の習得中は、値幅か、率かの分割ではいかがでしょうか?

 たとえば、感覚的に「ここでカイ」と、大きく増し玉したとします。
仮に翌日、大きな下落があったとしたら、あなたは冷静でいられますか?
 もしも、心に動揺をきたしますと、それがもとで、相場感覚の根幹まで
悪影響を及ぼし、全体が崩壊する恐れがあります。

 分割幅のおおきな計画的建て玉ならば、下落にたいしても想定内ですから、
精神的余裕が違います。
 決めた値幅のナンピンは退屈で非効率に感じるでしょうが、
単純なやり方を繰り返す方が、怪我が少ないと思います。



3)複数銘柄への関心
 結論としては、単一銘柄を奨めます。(相場感覚の習得が早く、資金的にも有利)

 私も一時期、同業他社の値動きが何らかの先行指標になるのでは・・・、
と神頼み? に場帖をつけました。
 また、サヤトリ異銘柄裁定)に興味を持ったときは、本格的にサヤの計算まで
しておりましたが、「サヤの開閉は一定ではなく、その周期も一定ではない
という、当たり前のことの再認識に終わりました。
 これも当然ですが、既に感覚が慣れているCSKの動きとの、違和感が大きすぎるのです。

 複数銘柄を扱うのは、「こちらがダメな時には、あちらで稼ぐ」と合理的に思えますが、
実際やってみると、両方ともダメになり、かえって習得が遅れるようです。
 値動きの癖は、個々の銘柄ごとに違います。
 百人百様ではないでしょうか。

 私がこれを悟ったのは、「平和不動」を場帖で追っかけた時です。
 CSKとのあまりの感覚の差に、吐き気をもよおしたほどです。

 皆様も、自分の銘柄と決めたものを長く続けて下さい。
 毎回浮気ばかりしている当て物投資家には、負ける理由が見当たりません。

 
 私はまた、4銘柄並行して追っかけたこともあります。
 しかし、成績は上がりませんでした。

 「これがダメなら、あちらはどうだ」と、結局、深層心理に「逃げ」が
あることに気付きました。
 また、私程度の資金では、複数手がけるほどの余裕は無い(単一の銘柄に分割して
投資するほうが平均値を有利にできる)ことを悟り、CSK1本に絞りました。


 自分の銘柄を絞り込んだら、他には一切目をくれず、
自分の銘柄の動きを自分のものにするのだと、退路を断って下さい。
 単一銘柄を続けることで、必ず習得できると信じます。



 また、相場感覚は微妙なものです。
 遊びのつもりで持った銘柄、或いは場帖を書くだけでも、自分の銘柄の
相場感覚の習得に無意識に影響すると思います。
 投資雑誌を読んだり、評論家の意見、あるいはニュース解説を聞いたりすれば、
無意識でも、深層心理が働らいていますから、感覚を狂わすはずです。
 あなたが友達に相場について語るだけでも影響が出ると思います。
 翌日場帖から異常を感じても、一度口に出した見通しは、翻しづらいのでは
ないでしょうか?

 たとえ僅かでも影響があると感じたものは、極力排除して下さい。
 複数銘柄保有していて、特定の銘柄のみの相場感覚を得ようとしても
たぶん無理、少なくとも単一銘柄のみの保有に比べ
大幅に習得が遅れると思います。

 相場感覚の習得は、単一銘柄に絞り込み、それに集中することが、
一番の近道です


 

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