「雑学3分間 金融」 太齊利幸 著より抜粋
■優先株のメリット、デメリット
政府が購入する株や社債は、優先株や劣後債といわれるものです。
優先株とは、株主になると受け取れる配当金や、発行企業が倒産した場合に受け取れる残余資産の分配金を、普通株の株主よりも優先して受け取れる権利の付いた株のことです。
たとえ会社の業績が悪くても、普通株に優先して配当金が受け取れます。
普通株が、減配や無配といった状況になっても、利益があれば優先株には配当が行われるので、安定的な配当収入を望む投資家には魅力の株式です。
しかし、会社の経営に参加する権利(議決権)は与えられていないのが、一般的です。
優先株の発行企業にとっては、配当コストがかかるというデメリットはありますが、投資家に有利な条件を提示することで、通常の増資よりも資金が調達し易くなります。
さらに、銀行のように、規制によって自己資本比率が定められている企業にとっては、優先株を発行することで、その比率を向上できるメリットも有ります。
■劣後債はハイリスク・ハイリターン
劣後債は、社債の一種です。
社債を買った人は、元本と利子を請求できますが、劣後債を買った人は、請求の優先順位が低く、企業が倒産した際に、普通社債の持ち主が請求し終わった後でないと請求できません。
その代わりに、社債の利率は高めに設定されていますが、リスクもリターンも高いことから、株式に近い性格を持っているといわれています。
そのために劣後債は、自己資本の一部とみなされ、銀行がBIS規制の自己資本基準をクリアするために発行されることが有ります。
優先株も劣後債も、企業にとっては、資金を調達するための手段の一つですが、両者に共通しているのは、持ち主に経営参加権が無いことです。
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