●5%を超えたら届出が必要
M&Aを目的として、上場会社の株式を証券取引所を通じて買い集めていく場合、注意しなければならないのが5%ルールと呼ばれる制度です(証券取引法に規定)。
具体的には、上場会社や店頭登録会社の株券などを、その発行済み株式総数の5%を超えて保有する者(大量保有者)は、大量保有者となった日から5日以内に、報告書(大量保有報告書)を大蔵大臣に提出するとともに、その写しを証券取引所(店頭登録銘柄は日本証券業協会)と発行者に送付しなければならないというものです(同法27条の23以下)。
これを株券大量保有開示制度と呼び、5%を報告書提出の基準としているところから、一般に5%ルールと呼ばれています。
さらに、大量保有者となった後に、株券等の保有割合が新たな取得や処分によって1%以上増減した場合や、報告書の記載事項に変更があった場合には、その日から5日以内に変更事項を記載した報告書(変更報告書)を大蔵大臣に提出しなければなりません(写しについても大量保有報告書と同様)。
●グリーン・メール規制
ところで、この株券大量保有開示制度は、短期間に一定の大量の譲渡があった場合、変更報告書に(通常の記載事項に加え)譲渡の相手方と対価を記載させることとしています。
これは、投資家保護とあわせ、株式を安値で買い集めて発行会社などに高値で引き取らせるグリーンメールの動きなどを牽制する働きもしています。