「図解雑学 通貨と経済」 野村茂治 著
●景気判断の総合的経済指標
指標を個別に分析しても、全体的な景気を読み取ることは困難です。
そこで複数の指標を組み合わせて、総合的に景気を判断しようとする
のが、景気動向指数(DI:Diffusion Index )による景気判断です。
景気動向指数は、景気の動向を敏感に反映すると思われる指標
をいくつか選び出しておき、3ヶ月前と比べて上昇した指標が、どのくらい
あるのかを割合として示した数値です。
例えば、11の指標のうち、増加したものが五つならばDIは45%
になります。
●三つの指標
景気動向指数は、景気を予測するための先行指数、現状把握のため
の一致指数、景気が変動したことを確認するための遅行指数の3系列
に分けられていて、実際に公表される数値は、各系列ごとに計算された
指数となります。
各系列の指標は、それぞれの特性を踏まえて分類されています。
たとえば株価であれば、景気の先行きを予測して変動する傾向にある
ため、「東証株価指数」という指標は先行指数に分類されています。
また、各指標は、実体経済をより正確に反映するように、別な指標に
入れ替えられることもあります。
DI(特に一致指数)が50%となるところで、景気が山又は谷に達し、
景気の転換点と判断されます。
ただし、DIが50%を上回ったり、下回ったりしたからといって、直ぐに
景気が変動したと判断されるわけではなく、一般的に、一致指数が継続
して50%を超えると景気が上向きであるとされ、継続して50%を割り込めば
、景気が下向きであるとされています。
●景気動向指数の系列
★先行指数13個・・・東証株価指数、建設受注額、機械受注額など
★一致指数11個・・・経常利益、稼働率指数、生産指数など
★遅行指数 8個・・・失業率、製品在庫指数など
●景気動向指数の推移
景気動向指数(DI)=拡張系列数 ÷ 全系列数
3ヶ月前と比べて上昇(拡張)した系列の割合
↑
例えば、11の指標で構成される一致指数のうち五つが上昇したとすると
DI = 5 ÷ 11 = 45% となる